源氏も多忙な要職のこととて、若いころのような忍び歩きもできない。ところで玉鬘は、全く憂欝である。源氏が、人のいないときなどそっと近づくことも多かったからだ。一方螢兵部卿宮が彼女に熱心なので、五月雨の晩、宮がやって来たおり、源氏は玉鬘の面前に螢を放ったので、彼女の美しい横顔が照らし出された。案の定、宮の心は玉鬘に魅せられてしまった。だが玉鬘の憂欝はつのるばかりである。五月五日には御殿で競射をすることになったので、源氏は馬場に近い花散里の所へも寄った。五月雨が降り続いて退屈な日々、女たちのところでは、絵物語が流行していた。玉鬘も住吉物語などを、わが身に引き比べながら見ていた。そこにやって来た源氏は、玉鬘相手に物語論を展開する。あげくの果てに物語に託して、またもやわが心の中を訴える。
 紫の上のところでも源氏は、こうした物語が女子教育上危険な場合もあることに触れて、物語の人物論などもする。継子物語などに特に注意した。そして夕霧は紫の上からは遠ざけるようにした。しかし夕霧は雲井雁のことが忘れられない。
 内大臣の方では、源氏のところに新しい姫君が現れたことを残念に思う。それがわが子であることを知らぬ内大臣は、夕顔の遺女を探索するよう指示する。

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